「つるみ食材さがしタイ!」実施のご報告

「つるみ食材さがしタイ!」

横浜市鶴見区。京浜工業地帯でもあり農業とは無縁なイメージの鶴見。
そんな鶴見で食材を探してきて料理して食べようという企画が「つるみ食材さがしタイ!」です。

「大黒ふ頭で魚を釣って、駒岡で野菜をとって、鶴見でとれた食材だけでご飯つくるパーティーしたいな。」

7月にフェイスブックでこう一言つぶやいたのが、全てのはじまり。

福島で農業に関係する仕事をさせていただいた「ふくわらい」代表の中村が、愛着のある鶴見で一見無縁な農業をぶつけてみたら面白いんじゃないか、と思いつき投稿しました。

このフェイスブックでの投稿に「面白そうですね♪ヽ(´▽`)/」「鶴見川で秋にハゼを釣れますよー」とかコメントをもらって、やる気になりました。

早速8月に仲間5人で会議して活動の名前は「つるみ食材さがしタイ!」に決定。

8月中はリサーチ期間として、鶴見の農家の情報や釣りの情報を収集することにし、秋に食事会をすることで動き出しました。

そして、鶴見の農家について調べ初め、最初に出会ったのが獅子ヶ谷の蛭間さん。
ご夫婦で畑で農作業しているところにお声がけをして出会いました。

もう一人、つくの商店街でパソコン教室を営む鎌田さんのご紹介で
磯ヶ谷さんという駒岡の農家さんにも出会いました。
磯ヶ谷さんは農家でもあり歌手でもあります。「シンガーソングライター」ならぬ「シンガーソングファーマー」。ライブにも行かせて頂きました。

お二人とも活動の趣旨をご理解くださり、鶴見産の野菜を手に入れる段取りがつきました。

しかし困ったのは釣り。素人には釣りはどうやったらいいのか、さっぱりわかりません。加えて「鶴見川の魚って食べても大丈夫なの?」っていう不安を口にする人もいます。

そこで第2回目の会議では、唯一釣りの経験があるメンバーの那須野さんに釣りについて教わります。そして彼に教えてもらいながら、素人にも釣りやすいハゼを狙い、潮鶴橋周辺で釣りをするということに決まりました。決行日は10月8日に決定。

「鶴見川の魚は食べられるか?」という疑問に対しては、実際に釣って食べている人がたくさんいること、危険であるという情報はないことで、大丈夫とみなすことに。

段取りは整ったはずが本番数日前にハプニング発生。

釣りを教えて下さる予定だった那須野さんが仕事でこれなくなりました。
さて困った、釣りの素人達が残された・・・。

なんとか釣りができないかと100円ショップで簡単そうな釣り竿を見つけいじってみるがチンプンカンプン。困った・・・。

あきらめかけた気持ちで喫茶店に入りナポリタンを食べていました。100円ショップの竹竿を持ってお会計をして出ようとしたそのとき、「それって釣竿?」と店員さんに声をかけられました。そこは釣り好きが集まるお店だったのです。

 

結局、店の常連で釣りの名人である平野さんこと「しょーちゃん」に釣りを教えていただけることになりました。

そして迎えた当日は快晴。半袖でも良い程の暑さです。

しょーちゃん

朝から潮見橋に集まってお借りした釣り道具でいざ釣り開始!

釣りのイロハもわからない素人集団は、しょーちゃんに「アンポンタン」と言われる始末。子どもも大人も川に糸を垂らし魚を待ちますが、一向に反応がありません。
しょーちゃんいわく、今年潮見橋周辺は川底を掘ったためハゼはほとんどいないのだとか。

3時間程粘って結果は1匹。

それでも楽しい時間でした。潮の香りにちょっとドブ臭を加えたような都会の川の独特のにおいも愛おしい。川面を飛ぶ魚のきらめきや、川縁を群れでおよぐ雑魚。それに声を上げて喜ぶ子どもの声。賑やかな様子に興味をもったのか、次々と知らないおじさんたちが集まってきて、頼んでもいないのに釣りを教えてくれる。

鶴見川と青空の下のびのびと楽しみました。

その後、潮田で自宅を改装したスペース「ジョイフルサービス福福」に場所を移しました。さて、お待ちかねの料理タイムです。

農家から仕入れた鶴見産の野菜。「ジョイフルサービス福福」のオーナーの西村さんが野菜を洗って待っていてくれました。

今回使った素材を紹介します。

かぼちゃ、さつまいも、長ネギ、小松菜、からし菜、大根菜、甘唐辛子、ナス、ピーマン、じゃがいも、しょうが、里芋、パセリ、冬瓜。

全て鶴見産です。

そして魚は私達が釣ったハゼ一匹としょーちゃんから頂いた冷凍ハゼ50匹。


料理好きは料理して、おしゃべり好きはおしゃべりをして、
子どもと遊んだり、買い出しにいったり。。。

思い思いに過ごし昼食の準備を進めます。
料理のプロでありケイタリングサービスもしているメンバーの大越さんが中心となり、なかなか段取りよく進みました。

そして次々と料理が完成。

はぜの天ぷらをメインに、ナスやカボチャの揚げびたし、ピーマンの煮物、大根菜のご飯、ナスの浅漬け、小松菜の豚肉炒め、ポテトサラダ、ふかしたさつまいも などなど。

素材を生かしたメニューがずらり。

鶴見区90周年を祝ったお酒を持ってきてくださった方もいて、
昼間からいい気分。

乾杯していただきます♪

一番人気はハゼの天ぷらうどん。
ハゼは淡白な白身魚で、予想以上に美味しくうどんと良く合います。

そして鶴見産の野菜。どれも新鮮でちゃんと野菜の味がして素直に体の栄養になっていく感じです。

料理の感想などを語りながら、大人11名、子ども2名で賑やかな食事会となりました。

材料の調達や準備にかかった時間に比べると食べている時間はあっという間でした。しかし、時間をかけるということに意味があるのかもしれません。

普段なんでもすぐに手に入り、時間をかけずに食べ物をいただくことができますが
あえて鶴見産にこだわり、苦労して材料を手に入れることから始めることで、食べることの意味を見直すことができました。

同じ土地で育った生き物の命をいただいて人間が命を成り立たせていること。食べることは命をいただくことだと、感じました。

そして、命をいただく場である食卓を一緒に囲み一緒に食事を頂くことは
生きていることを喜びあって励まし合うような深い意味を持つのだと思います。

また、農家や漁師のたくさんの手間があってこそ、野菜が育ち、魚を口にすることができるのだと痛感しました。人が食事という形でエネルギーを補給するまでの過程には、多くの人の時間と労力がかかっています。

地域に対しても発見がありました。
工業地帯といわれる鶴見にも自然があり、自然によってはぐくまれる命があります。あたりまえだけれど忘れていました。そして、明治時代には鶴見が西洋野菜の先進地だったように、地域の姿は時代によって移り変わるものだということです。今の街の姿が絶対ではなく、変わっていくし変えていける。

多様なメンバーと出会わせてくれた街、つるみ。

「つるみ食材さがしタイ!」、これからもこの企画を大切に育てていきたいと思います。