合同会社ふくわらい代表の中村が毎月つぶやきます。
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高校生のころ、ただ街をうろうろとふらついている時期があった。
学校が終わって毎日3時間くらい、一人で横浜の街をうろうろする。
たいていは、横浜の繁華街で、好きな本屋で立ち読みしたり、
CDショップで音楽を視聴したり、服をみたり、雑貨をみたりする。
時に川沿いを歩く。
ほとんど何も買わないのだけれど、
何かを求めて一人歩きまわる。
何かとは、私が好きと思ったり面白いと思うものだ。
つまり自分の欠片を探していたのだ。
物を買いたかった訳ではなくて、自分を知りたかった。
好きなものを集めることで自分が作れるような気がして
毎日うろうろしていたのだ、と今ならわかる。
けれど、毎日歩き回って大切なものを見つけたのかと言われれば、そうでもない。
自分を変えるような出会いや、すごく熱中できるものに出会った訳でもない。
買い物に自分の欠片を探そうとするのは限界があったのだ。
それでも、こうやって街をふらついていた時間が大事だったと思う。
所在のなく定まらない気持ちを街が受けとめてくれた。
将来もわからず打ちこめるものもなく色々な感情を抱え込んだ私には
一人でウロウロしていても誰も咎めず、雑な刺激があふれた街がちょうど良かった。
目的もなくさまよっても街は受け入れてくれた。
街は人の居場所だ。
孤独な人も街にまぎれて癒される。
そして、店は街のいろどり。
蜜のように街に人をさそう。
店の世界や文化が、人に出会いにみちびく。
ふらついていたあの頃、肌で街を感じた。
私が街や店に興味をもつ原点だったんだと思う。
(つづく)